キングダムスピリッツが生まれるまで

SHUNROIDゲーム5作目。
「キングダムスピリッツ」を作ろうと思ったキッカケや想い、作成時の事を書き残そうと思います。

※遊んだことが無い方でも分かるように書いているつもりですが、プレイ済み状態で読んでいただいた方がより分かりやすいと思います。また、めっちゃ長文なのでご注意ください。



キッカケ

初の2人用ゲームの制作をしたいと思った時に、「負ければ負けるほど有利になる対戦ゲームってオモシロイかも?」と思った事がキッカケでした。
色々な2人用の対戦ゲームを遊んだのですが、ジリジリと削られて一発逆転が難しいゲームが多いなぁ~と感じたからです。

そして、勝負は究極にシンプルで一発逆転もあり、ギャンブル漫画のような度胸が試されるドキドキな勝負にしたい!と思いました。

コンセプト

キッカケから自分がゲームで表現したい事をまとめるとコンセプトは下記になります。

勝負は究極にシンプル!

勝負は分かりやすくシンプルを突き詰めたら「数字比べ」になりました。
数字を比べるだけ程簡単なものはありません。

負ければ負けるほど有利に!一発逆転も!

勝負を繰り返し負けたら強くなる、しかも一発逆転があるから最後まで気を抜けない!
そんな熱い2人用ゲームを作りたい!
痺れる戦いを体感できるようなゲームを作りたい!

テストプレイ後に増えた要素

上記二つのコンセプトだけで取り急ぎテストプレイキットを作成し、テストプレイをしてみるとドキドキ感はあるけど…それだけ?という状況に。
ものすごい物足りないゲームでした。
※キングダムスピリッツでいう所の勝負フェーズのみの状態でした。

そこでもっとゲームを面白くするために、下記要素を追加しました。

スキル構築

そうだ、カードごとに固有スキルを持たせよう!となりました。

スキルにより、ゲーム内に「蘇生」や「封印」という要素が生まれました。
それにより、負けても蘇生できれば安心なので勝負に出やすいし、蘇生するかしないかの判断も勝負で重要な選択となりました。

蘇生について

蘇生とは勝負に負けた負け札を生き返らせて手札に戻す事です。

封印状態について

封印とは負け札を裏返し、スキル使用不可&蘇生不可状態になる事です。

スキル発動タイミング

スキルは発動タイミングが大まかに分けて3パターンになります。(下記3パターン以外もあります)

  • 即時発動:スキルを発動したら即時効果発動(姫:負け札を1枚蘇生 等)
  • 勝ったら発動:次の勝負で勝ったら効果発動(王子:次の勝負で勝ったら負け札を1枚蘇生 等)
  • 負けたら発動:次の勝負で負けたら効果発動(王女:次の勝負で負けたら負け札を1枚蘇生 等)

次の勝敗に応じて効果が発動するスキル=そのスキルを発動する事により次の勝負フェーズで相手は勝ちに来るのか、負けに来るのかが推測できます。

また、魔術師の「次の勝負だけ戦力を+1」という、次の勝負フェーズに影響するスキルも数多く用意しました。
それも+1にするって事は次勝ちに来る=勝負フェーズで大きい数字のカードを出してくる可能性が高いという推測ができます。

逆に相手にそう思わせて裏を読んで違ったカードを出して勝利するという事も可能になります。
マーマンAsobiチャンネル様でも最後ヨウマンさんがスキルを使用してマーマンさんの心理を読んで逆転勝利していますね。

このスキルによって勝負フェーズで相手がどんなカードを出してくるか、心理の裏の裏を読む痺れる戦いが繰り広げられます。

逆に相手が次勝ちに来ていたら、あえてスキルとして使いたい負け札にしたいカードを出すというのも戦略の一つです。(そう思って出しても、うっかり勝っちゃう事もありますがw)

負けなければ魂スキルが使えない

魂スキルを使うには勝負で負けて負け札にしなければなりません。
これも「負ければ負けるほど有利に!」というコンセプトに則っており、スキルが使えるのは勝負フェーズで負けたプレイヤーの特権になっています。

また、勝負に負けた敗者の魂をスキルとして使うというテーマにバッチリ合っています。

魔力キューブ

勝負フェーズで勝ったらカードに書かれたWINの数字だけ魔力キューブを獲得できます。

負けた時はLOSEの数字だけ魔力キューブを獲得できます。

戦力の数字が6や7のように大きい強いカードは勝ちやすいのでWINの数字は0が多いです。

逆に戦力数字が小さいカードはWINの数字もLOSEの数字を3~4と大きくしています。

これも負ければ負けるほど有利に!というコンセプトに則っています。

強力なスキルほど大量の魔力キューブを必要とします。

傭兵

遊ぶたびに違う展開になるように傭兵の要素を入れました。
傭兵は全16種類初期手札で1枚傭兵をランダムに加える事で戦略の練り方が変わります。
また、中央から2枚表にして、魔力キューブ3個支払えば自由に獲得もできるようにもしました。

最初は傭兵は8種類でしたが、「追加パックを出すとしたら?」と考えてしまい、8種類増えたのでもう入れちゃえ!と全16種類になりました。(イラストを描く自分の首を自分で絞めましたw)

16種類全てスキルも強さもイラストも違います!
どの傭兵が出るかで何度遊んでも展開が変わります!

一発逆転要素

一発逆転要素はギャンブル漫画のようにものすごいスリルがあります。
これはキングダムスピリッツで上手く表現出来ている部分でもあり、ゲームシステムの肝でもあります。

各自初期手札1~7で1は道化師で最弱だけど、唯一王にだけは勝てる。しかも勝てたら即ゲーム終了で勝利を掴めます。

王の7はどのカードよりも大きい数字なので、出せばほぼ勝てます。
しかし、相手に道化師を出されたら即ゲーム終了で敗北を味わうことに…。

道化師と王は最重要カードとなりますが、このカードを失っても戦えるように初期カード7枚はバランスの良いスキルで構成しています。

道化師と王を失った時の対応

最重要な道化師や王を失ったら勝てないのではないか?という問題が浮上します。
そこはスキルで補う事にしました。

例えば、自分の道化師が負けてしまうと相手は王を出せばほぼ負けない状況になります。(王同士での引き分けもあります)
その状況を回避するために、道化師のスキルで「次の勝負だけ戦力+1」にするという対処法があります。
+1にして6のカードを出せば7の王と引き分けに持ち込めます。
また、発動しやすいように道化師のスキルは消費魔力2と魔術師よりも少なくなっています。
道化師のLOSEで貰える魔力キューブは4個なので、最低でも2回は発動できる事になります。

もしくは、姫を負け札としてスキルを使える状態にしておき、道化師が負けたら姫のスキルで蘇生させて手札に戻す。または王子や王女のスキルで勝った時、負けた時の条件を利用して蘇生させるという手段もあります。

王も同様に蘇生させることで手札に戻せるので、スキル構築である程度蘇生できる環境を作った後ですと道化師や王が出しやすくなります。

しかし、そう準備しても気を付けなければならないのが、初期手札にある「騎士」のカードです。

消費魔力が5と大きいですが、相手の負け札を1枚選び封印状態にできる強力なスキルです。

前勝負で道化師が負けて、準備フェーズで負け札になった道化師を騎士のスキルで封印されてしまうと天使のスキル以外で蘇生させる事ができなくなります。
初期手札に騎士を入れたのは、「封印する」という攻撃的なスキルも初期手札に有った方が面白くなると判断した為です。

この騎士のスキルで王か道化師を封印されるとかなり不利な状況に陥ります。

ルールの意図について

ゲームの流れ

フェーズを増やすと手順が複雑になるので、「勝負は究極にシンプル」というコンセプトに合うように、「勝負フェーズ」と「準備フェーズ」の2つだけを繰り返して戦う形式にしました。

2つのフェーズの繰り返しなので、メッチャシンプルです。
裏の裏を読む心理戦に集中してほしくてシンプルにしました。

【勝負フェーズ】勝った時と負けた時の処理が違う

このゲームの特徴でもあります、勝敗に応じて処理が違います。

勝てば手札は減りません。勝利カウントも増えて勝利に近づきます。準備フェーズでも先手を取れます。
負ければ手札は減りますが、スキルを使用できるようになります。魔力キューブも貰えます。(負けても貰えないキャラもいます。)

引き分けの処理

数字比べで数字が一緒の場合、引き分けとなりますが、この場合は両プレイヤー負けの処理をするようにしました。
そして、引き分けの場合は準備フェーズがスキップされ、再度勝負フェーズになります。
実はこの「引き分け」がゲーム展開を大きく変えるキッカケになります。

引き分け自体発生する確率は低いのですが、引き分けが発生すると両者負け扱いなのでお互いにカードのLOSEに書かれた魔力キューブを獲得し、その獲得した魔力キューブを使えずにそのまま次の勝負フェーズです。

これは、お互いに勝利カウントは増えず、お互いに魔力キューブを獲得する事になるので、この次の勝負後の準備フェーズは貯まった魔力キューブを一気に使う事ができます!

例えば、魔力キューブを大量に必要とする強力なスキルを発動するも良し、傭兵を2枚獲得するも良し。
引き分けにより密度の濃い戦いになります!

負け札3枚の制限について

自分の前に置ける負け札(スキルが使えるカード)は3枚までにしました。
理由は2つあります。

①無限に負け札を置けると遊ぶ際にスペースを大幅に取ってしまう。
3枚までとしたことで省スペースで遊べます。
また、全ての負け札を置いてしまうと選択肢があり過ぎて、どのスキルを使ってくるか相手が予想が立てられなくなってしまうからです。

②3枚に制限する事により、悩ましい選択が生まれます。
あのスキルもこのスキルも使いたい!
しかし、既に負け札が3枚あり、封印する1枚を選ばなければならない!
スキル構築が悩ましい!

封印した後のご褒美として魔力キューブを2個獲得できるようにしました。
2個にした理由は、3個だと封印後にすぐ準備フェーズで傭兵獲得できてしまう&有効なスキルがだいたい3個から使えてしまうからです。

負け札3枚制限により、自分も相手も常にお互いの負け札スキルを注意深く確認する必要が出てきて、考えなきゃいけない事が常に変化する面白い要素になりました。

【準備フェーズ】悩む3択

勝負フェーズを究極にシンプルにしたため、準備フェーズは少しだけ考える要素にしました。
そして、準備フェーズによりシンプルな勝負フェーズがより濃密になるような仕掛けを入れました。

  • スキルを発動するか
  • 傭兵を獲得するか
  • パスして魔力キューブを温存するか

準備フェーズでの上記3択はゲーム内で重要な選択となり、面白い要素になりました!

パスの処理

1回目にパスをした場合、2回目も自動的にパスとなります。

これは、1回目パスして相手の出方を見てから2回目にスキル発動!とできる形にしてしまうと、前の勝負で勝ったプレイヤーから準備フェーズで先手で行動できるという利点が無くなってしまうからです。

勝負で勝てば準備フェーズで先手取れるよ!と勝つ事に対してもメリットがあるようにしました。

勝負による勝敗のメリット・デメリット

このゲーム、負ければ負けるほど有利になるなら勝っても意味が無い?と思うかもしれません。

そこで、勝敗のメリット・デメリットをまとめてみました。

<勝った>
メリット:勝利カウントが増える(10勝すれば勝利)。手札が減らない。準備フェーズで先手が取れる。
デメリット:戦力が大きい数字で勝つと魔力キューブが貰えない。

<負けた>
メリット:魔力キューブを獲得。負けたカードのスキルが使える。
デメリット:勝利カウントが増えない。手札が減る。準備フェーズで先手が取れない。

このように見ると勝つ事にもメリットが沢山あります。
特に準備フェーズで先手が取れるというのは強いです。
相手にスキルを使われる前に騎士のスキルで封印するという事もできます。
自分の負け札状況も考え、勝ちに行くタイミングを考える必要があります。

勝利カウントを増やしつつ、魔力キューブも増やす方法は「小さい数字で相手にギリギリで勝つこと」です。
戦力が低いカードで勝てば魔力キューブをたくさん獲得できるように調整しました。

相手の心理を読み、相手が出すカードを予測して小さい数字で勝利し、魔力キューブを獲得する。
これが一番難しい事ですが確実に勝利を手にする方法でもあります。

勝利条件

勝利条件は3つ用意しました。

  • 相手より先に10勝したら勝ち!
  • 相手の手札が無くなったら勝ち!
  • 道化師 or 天使で王に勝ったら勝ち!

勝利条件が3つあるので、どんな状況でも勝利を目指せます!

勝利条件1:相手より先に10勝したら勝ち!

このゲーム、「負ければ負けるほど有利に!」というコンセプトがあるので、勝つ旨味が無いのでは?とならないように先に10勝すれば勝利を勝ち取れるようにしました。(負けた方がスキルで有利になるので10勝0敗は滅多にありません。)
なので、負けてばかりでスキル構築を楽しんでいると、気が付いたら負けてしまいますw

また、この「10勝」というのが心理にすごく作用してきます。

例えば、現在8勝していて後2勝すれば勝ちとなると、心理的に勝ちを欲してしまい無意識に「7の王」を出しやすくなります。
そこを読んで道化師を出されたら負けてしまうので、この今何勝目かというのも心理戦において重要な要素になってきます。

逆に序盤でお互いに差が無い時は負けてスキル構築しておこうかな?という風に心理が働きますし、中盤になると負けてられない!と焦りが出てきます。

心の余裕が面白いほど心理に現れます。

勝利条件2:相手の手札が無くなったら勝ち!

これは引き分けが多発し、お互いに負け処理を行いまくると手札枯渇問題が浮上してきます。
手札を枯渇させてしまうと戦えないので負けとしました。

回避手段として「蘇生」をして負け札を手札に戻すか、「傭兵」を獲得して手札を増やすかとなります。
この要素も焦りとなりますので、どう動くか次第で勝敗に大きく関係してきます。

ちなみに私はテストプレイ時に勝ちを欲してしまい、ガンガン手札から出して手札枯渇を経験しましたw

勝利条件3:道化師 or 天使で王に勝ったら勝ち!

道化師 or 天使で王に勝ったら勝ちは上記の方で説明しました「一発逆転要素」ですね。

1勝9敗状態でも、相手が王を出してきてこちらが道化師か天使を出せば勝利を掴めます!
なので、相手に王を出させるようなスキルにより揺さぶりが効果的で、相手も勝利欲しさに王を出しやすくなっています。

天使が居る意味

天使は傭兵カードで存在してます。
天使は道化師同様戦力が1と最弱ですが王にだけは勝てるカードです。

傭兵に1枚、王に勝てるカードを入れる事によりゲームの展開の幅が更に広がりました。

例えば、単純に相手が天使を持っていることを忘れてて、相手の負け札に道化師が居るから王を出せば絶対に勝てると勘違いして出して天使を出され負けてしまったり。(テストプレイで実際にありましたw)

また、天使が手札にあると道化師が出しやすく、道化師のスキル「次の勝負だけ戦力+1」が魔力キューブ2個の消費だけでガンガン使えるようになったりします。これもまた強力です。

また、小ネタですが天使のデザインは前作「惑星バトルNo.1」の天使マリエルが成長した大人の姿になっていますw

惑星バトルNo.1のマリエル。

デザイン

キャラクター・イラスト

キャラクターデザインは今回初挑戦でした。
専門学生時代にデッサンやキャラデザの授業はありましたが、3DCG専攻だったので2Dにはあまり力を入れてませんでした(今思うと、もっとそっちに力を入れてれば良かったと後悔…)

家族が寝静まってから夜な夜なコツコツと、iPad proを使用して3か月で30名のキャラクターを描きました。

使用したアプリはAdobe「Fresco」というお絵描きアプリです。
このアプリの良い所はPCで起動してるIllustratorに同期できる事ですね。
書き終わったらIllustratorへ移動して、カード用に編集しました。

イラストの描き方に関しては、さいとうなおき先生のYouTubeで勉強しました。

イラストの描き方はもちろんなのですが、考え方だったり精神的に支えられる部分があり、今でもよく見てます!オススメです!

それにしてもYouTubeで好きな時に学べる良い時代になったなぁと感じます。

ロゴ

ロゴは明朝体でクラシックな感じでシンプルにしました。
ちょっとFFっぽくなってしまいましたが、良い感じにできました!

パッケージ

パッケージ制作中に友人達に見せたら「ゴチャゴチャし過ぎ!」と不評でしたが、「こんなにキャラクターが居てメッチャ遊べるゲームなんだぜ!」という事をアピールしたく、あえてゴチャゴチャさせましたw
個人的に迫力があって気に入ってます!

サマリー

サマリーは表に勝負フェーズ、裏に準備フェーズ&勝利条件でシンプルにまとめてみました。
コンパクトに1枚にまとまって良かったです!

カード

カードは数字が多いので、どれが何の数値か区別しやすいようにレイアウトに気をつけました。

スキル名はオシャレに明朝体、スキル内容は読みやすいようにゴシック体にしました。
また、白い文字淵を付けて可読性を上げました。

スキル周りのフレームとかもiPad proで下書きしてからIllustratorで整えました。

あとがき

今まで創ったゲームは大体2~4人で遊べるという多人数用なので「2人でも遊べる」という感じでした。
なので2人専用は考え方がまるで違いました。
初の2人用ゲーム創りメチャクチャ楽しかったです!

死ぬほどテストプレイしまくったのですが、個人的にはまだまだキングダムスピリッツを遊び足りない状態ですw
相手の心理を読み合う自分が表現したかった最高の2人用ゲームができた!と思っています!

まだ未プレイの方は是非遊んでみてください!
興味を持って頂けたら嬉しいです!