神のツルハシが生まれるまで
SHUNROIDゲーム3作目。
「神のツルハシ」を作ろうと思ったキッカケや想い、作成時の事を書き残そうと思います。
キッカケ
私は株や投資信託を始めて10年ぐらいになるのですが、そこで感じたものを取り入れたゲームを作れないかなぁ。と思った事がキッカケでした。
レート次第では大儲けできる快感を盛り込んだゲームです。
コンセプト
レートにドキドキ!レート次第で大儲け!?
レートが良い時に売れれば大儲けでき、プレイヤーの行動でレートがドンドン変化する要素を入れたい。
サイコロ出目を考慮して構築対策!
レートで稼いだお金で自分を強化していく構築系にしたいと思いました。
サイコロによる運要素もありますが、自分をどう強化するかにより、ある程度コントロールできるようにしたい。
強化パーツで一気に強化できるようにして一発逆転も狙えるようにしたい。
このコンセプトで、タイトル下に「ダイス × 構築 × レート」と書く事にしました。
リスクを無くしたい
株や投資信託ではその時の価格で「購入」し、その後のチャートの上がり下がりで売るタイミングによって得したり損したりします。
ゲームにするにあたって「お金を払って購入し、価値が上がったら売る」という形ではなく、「お金を払わず採掘してゲットした物をレートの価値で売る」という形にしました。
お金を払う必要が無いので「お金が無くなり借金しなきゃいけない状況」というマイナス要素を無くしました。
世界観
伝説の鉱石
ドラゴンクエストやファイナルファンタジーをプレイされた方なら、「オリハルコン」って聞いて、ちょっと「おおっ?」って思いませんか?
そんな架空の「伝説の鉱石」を扱うゲームにしようと思いました。
そこで「オリハルコン」「ミスリル」「ヒヒイロカネ」「アダマンタイト」の4つの伝説の鉱石を使う事に決めました。
4種類の鉱石のレートを気にしながら何を掘るのか、いつ売るのかを考えて遊ぶゲームです。
プレイヤーたちはツルハシ片手に伝説の鉱石を採掘し、レート(時価)で売る。
鉱石を売って得たお金で採掘アイテム(スコップやドリル)や強化パーツを購入し、更に採掘しやすくお金を稼ぎやすくする。という世界観が決まりました。
ルール
コンセプトや世界観に沿ってルールを細かく考えました。
レート
4種の鉱石のレート表を作りました。
レートは1~7まで設け、売った時のタイミングでいくら儲かるか決まります。
1~8、1~9など色々試しましたが、バランスが一番良いのが1~7でした。
レートが5~7の時に鉱石3個売れば製錬炉を建てる分のお金がゲットできます。(製錬炉の価格は15G)
例えば、オリハルコン鉱石を3つレートが7の時に売却すれば鉱石3つ×レート7G=21Gゲットできる。
しかし、レートが3の時に売却すると鉱石3つ×レート3G=9Gしかゲットできない。
売るタイミングで一喜一憂する感じです。
もちろん「今は売り時じゃない!」と売らずに保持する事も可能です。
※鉱石の最大所持数は3個です。
バブル崩壊要素!上がり過ぎると下がっちゃう!?
次にレートが上がり過ぎたら暴落するようなバブル崩壊要素を入れたいと思い、「レートが7以上に上がった場合レートが1になってしまう」という要素を入れました。
これにより、お金欲しさに単純にレートが高い鉱石を採掘しても、レートが上がり過ぎて価値が低くなってしまうかもしれない。という「邪魔しあう駆け引き要素」になりました。
レートは掘っても売っても変動!
レートの変動は、自分が採掘すると採掘した数だけレートが上がります。
なのでレートを上げたければドンドンその鉱石を採掘すればOK。
鉱石を売却すると売却した鉱石のレートは売却した数だけ下がりますが、売却されてない他の鉱石のレートが売却した数だけ上がります。
鉱石を採掘しても売却してもレートは動き、特に売却時は他プレイヤーの持っている鉱石に気をつけないと他のプレイヤーがすごく儲かってしまう可能性があります。
逆に他プレイヤーが持ってる鉱石を高値で売らせないようにコントロールしようと思えばできますが、それでは自分も儲からないかもしれません。
自分の利益を優先するか、他人の利益を妨害するかの選択が生まれます。
採掘アイテム&強化パーツ
サイコロの出目のよって効果を発揮する採掘アイテム
採掘アイテムは9種類作りました。価格は3G~9Gです。
採掘アイテムは最大3枚まで所持でき、「掘る」際はサイコロを振った後に3枚からどの2枚を使用するか選べるようにしました。
それにより、どの目が出ても大丈夫なように採掘アイテムを揃えるのか、
逆にこの目が出たら強いという博打的な形で採掘アイテムを揃えるのか、
プレイヤーによって性格が出ます。
また、採掘アイテムは各種2枚ずつあり、2枚の出目の中身は同じですが出目の配置が違います。
それにより自分に合った出目の配置を考え、アイテムを購入し構築を考える事ができるようにしました。
しかし、個性あるアイテムを同じものを2つ所持してしまうと効果がとても強くなってしまう為、同じ名前の採掘アイテムを2個所持する事を禁止としました。
採掘アイテムは一番安いクサビ(3G)
採掘アイテムは一番安いのでクサビ(3G)というのがあります。
3Gと安い採掘アイテムを用意した理由は、序盤で採掘アイテムを何でも良いからゲットしておかないと後々響くからです。
鉱石のレートが低くても売ってしまい、手元のお金を作って何でもいいので採掘アイテムをゲットした方が有利になります。救済措置として3Gのアイテムを用意しました。
一発逆転!?効果の強い強化パーツ
強化パーツは5種類作りました。
強化パーツは最大1枚しか所持できません。
その代わり全て5Gと安く設定し、気軽に購入&買替ができるようにしました。
また、個性を強く出す為に出目の効果が倍になるという強い設定にしました。
この「効果倍」というぶっ飛んだ設定は一発逆転できる可能性を秘めています。
効果が倍になる以外に「誰かの鉱石を1個貰う」という妨害要素をガードする「シールド」という強化パーツも用意しました。
理由は鉱石を奪われるダメージがデカイからです。
安定したプレイスタイルを好まれる方用に用意しましたが、安定の代わりに効果倍を得られないのはそれはそれで大きいです。
強化パーツは各種1枚ずつしかない為、早い者勝ちです。
採掘アイテムと強化パーツについては下記にまとめてありますので、宜しければご覧ください。
協会
株の配当金のような「持っているだけでチャリンチャリン儲かるような仕組み」を入れたいと思い、各4種の鉱石の「協会」を設立できるようにしました。
協会カードを持っているとその鉱石が売られた際に中央からお金が貰えます。
しかも中央から貰えるお金の額は協会カードを揃えれば揃えるほど上がるようにしました。
それにより、協会カードを誰がどれほど所持しているか気にする必要が出てきます。
協会カードは各鉱石1枚ずつしかありませんので早い者勝ちです。
早い者勝ちですが、購入と同じ条件で他プレイヤーから奪う事もできるので慌てる必要はありません。
協会カードは誰かが鉱石を売った時にその鉱石の協会カードを持っていれば中央からお金が貰えますが、売った際に請求を忘れ、次のプレイヤーのターンになっていた場合は、後から請求する事ができないようにしました。
請求できないようにした理由は後から「あの時この鉱石売ってたよね?協会のコイン貰い忘れてたから貰うわ」みたいな話になりゲーム進行が止まってしまうし、そこで勝ち負け判定が後から出てくるとややこしくなる為です。
ちゃんとゲームに集中して鉱石売った事を監視していないのが悪いのですw
鉱石のレートが低い時の手段
また、鉱石を売りたいがレートが低い。
同じ種類の鉱石2個あるし、「じゃあ協会を買おう」という手段を取れるようにしました。
鉱石のレートが低い時に協会ゲットすればお得感が増します。
例:レート1の時に鉱石2個払って協会ゲット=2Gでゲット
レートが低い事がネガティブからポジティブになります。
ただ、レートのリスクを考え、色々な種類の鉱石をバラバラに1種類1個ずつ持ってしまっていると協会はゲットできません。
「レートのリスクを考え鉱石の種類を1個ずつバラバラにゲットするか」または「レートが低い時を想定し協会の方に切り替えられるように同じ種類の鉱石2個ゲットするか」を考える必要があります。
協会の特徴
協会は自分以外の人のターンでもコインがゲットできるので、とても強力です。
例えば、3つの協会を所持している状態で、他プレイヤーがその所持している3種の鉱石を1個ずつ売却した場合、協会だけで4G×3種=12Gもゲットできてしまうのです。
しかし、第一フェーズの「掘る」で1種の鉱石を2個ゲットし、第二フェーズの「買う」で他プレイヤーが所持している協会を奪う事もできてしまうので、強力な分奪われやすい特性があります。
勝利条件
「じゃあ、何をしたら勝ちにしようか?」と考え、最初は単純にお金を目標金額まで一番に稼いだら勝ち!で考え作っていました。
しかし、それだと単純過ぎるなぁと思い、鉱石4種それぞれの製錬炉(鉱石を金属に変える炉)を誰よりも先に買いそろえた人が勝ちにしました。
そこで新たに生まれた製錬炉にも何か購入特典を付けようと考え、
その鉱石の製錬炉を購入済みの場合、その鉱石を売ったらレート+1になるようにしよう!と思いつきました。
鉱石を製錬炉で金属に変えて価値を上げて売却できるイメージです。
それにより、製錬炉を購入すればするほどゲームも有利になります。
最大のレート7が更にレート8になるので、「レート+1」って要素は思ってるより大きいです。
デザイン
デザインは「とにかく分かりやすく」をコンセプトにしました。
今回イラストは全てiPadProで描きました。
鉱石
鉱石は各色が分かりやすく、パッと見でも分かるような形にしました。
架空の鉱石なので、「こうじゃなきゃいけない」という正解はありません。
何も気にせず自由に描けるのは楽しかったです!
採掘道具&強化パーツのイラスト
派手で目を引くようなデザインにしたかったので、最初はこんな風に色々なデザインをしていました。
しかし、小さく表示した時に分かりにくさが出てしまうし全部派手に描くのが大変!という事で分かりやすさと作業スピードを重視した結果、シンプルイズベストへ。
一目見てツルハシと分かるようなデザインで、神シリーズとして赤を入れて特別感を出してみました。
私自身が「白・赤・黒」の3色の組み合わせが昔から好きっていうのもあります。
カードデザイン
右上に価格、その下にプレイ中一番注目する1~6の出目の効果を載せました。
ゴテゴテのデザインもしてみたのですが、カードサイズで印刷すると分かりづらくなったので、パッと見分かるようにシンプルにしました。
分かりやすく効果ごとに色分けをしました。
ゴールド(G)チップ
お金は色はオリンピックのメダルと同じに、分かりやすく「金・銀・銅」の3色にしました。
数字も大きく目立つようにと見やすくデザインしました。
裏面をよ~く見ると実は「SHUNROID」と小さく入ってますw
ルールブック
ルールブックはA3サイズの用紙1枚にしました。
表面に準備等ルール以外の事をまとめ、裏面1枚でルールを全て読めるようにしました。
上部にゲームの流れ、その下にその流れの中でやる事を記載しました。
これによりページをめくる必要なく広げてルールの確認ができます。
サマリー
表面に初心者向けに「手番でやる事」を載せ、裏面に慣れた人でも見るであろう「アイテムの特徴一覧」を載せました。
これにより久しぶりに遊ぶときも思い出しやすく、最初だけじゃなくずっと使えるサマリーになるかなと思います。
ロゴ
最初の仮のゲームタイトルは「ファンタジーメタルレート」でした。
伝説の鉱石をレートでやりとりするゲームなので、それをそのまま英語にした感じです。
当初のデザインはこんなロゴでした。
しかし、タイトルが長くキャッチーじゃないし、タイトルに「ツルハシ」と入れたい!となり、下記ロゴになりました。
ダイスゲームなので、1~6のサイコロを入れました。
白黒赤の3色でまとめ、神の字の後ろにツルハシを入れました。
右上に英語版タイトルを小さく入れ、バランスをとっています。
そして分かりやすくダイレクトに「ダイス×構築×レート」と分かりやすくロゴの一部として入れました。
パッケージ
パッケージ用にツルハシの絵を描きました。
中央にでっかくツルハシを置いて、下から飛び出してきたみたいなイメージにしたかったのでイメージ通りデザインできました。
バックに4種の鉱石をデカく入れた事により、ツルハシがシンプルでも全体的に色鮮やかな印象になりました。
また、今回の新たな試み「ルール説明漫画付き!」を左下に記載しアピールしてみました。
ルール説明漫画
今回、新たな試みとして「ルール説明漫画」を付ける事にしました。
「ルール説明漫画をつけたい!けど漫画家さんの知り合いが居ない!困った!」と思っている時に、以前イエサブ体験会でお会いした漫画家の山田実範さんから丁度ご連絡を頂きました。
山田さんに「ルール説明漫画を描いてもらえませんか?」とお願いした所、快く承諾してくれてルール説明漫画をゲームに同封するという事が実現できました。山田さんに感謝です!
8ページのカラー漫画となっています。とってもハイクオリティです。
(当初は白黒でお願いしていましたが、山田さんからカラーの方が鉱石の色が区別付きやすいとご提案いただき、カラーにしていただきました。)
余談
ツルハシをタイトルにした理由
私がツルハシという存在を知ったキッカケは当時スーパーファミコンの「風来のシレン」でした。
「え!壁掘れるの!?スゲー!」と小さい頃に思った私は強く印象に残っており、ツルハシを使ったゲームを作りたいという想いがありました。
そこで今回ゲームで最初に持っているアイテム、かつタイトルにもツルハシと入れる事を決めました。
金は天下の回りもの
神のツルハシを遊んで頂くと分かるのですが、「誰かからお金を貰う」というアクションが多いゲームです。
「誰かから鉱石を貰う」は強化パーツ「プレート」があれば取られずに済みますが、お金を取られるのを防ぐ術はありません。
これは「金は天下の回りもの」を表現したくて、あえてこのようにしています。
なので、このゲームは「お金を所持しているのが非常に危険」なゲームなので、採掘アイテムや強化パーツを買って手元のお金を無くしてしまう方が安心です。
お金の奪い合いが多くなるので、人によっては嫌いな要素かもしません。
この要素が嫌いな方ゴメンナサイ…。
ただ、この激しい奪い合いが起こる大変な中で製錬炉を建てると非常に達成感があります。その快感を味わっていただければと思います。
勝ち方
- 鉱石を高レートで売って一気に大儲け
- 強化パーツでガッツリ奪い大儲け
- 協会揃えて自動チャリンチャリで大儲け
ここはテストプレイを重ね、どの戦略でも勝てるようなバランスにしました。
しかし、勝つ為にはサイコロの出目運も重要です。
あとがき
長々と書いてしまいすみません。
最後まで読んで頂いた方、ありがとうございます。
ゲームも楽しんで頂けると嬉しいです!